本屋にて叫ぶ男が一人
「なるほど!!最近ではアザナに対する考察として、気の流れ説というのが流行っているのですね!!」
頬のこけた、黒髪の男がぐるぐる眼鏡で喋っていた
「果たしてそうなのでしょうかね、いやそうではないでしょう、何故なら私たちは!!!」
「おっさん」
――本屋の中で声を上げている男の元にだるそうな足取りで歩み寄り、口を開く少女
しれっ、と光のない目で腰に手を当てながら、眉間に皺を寄せて見上げる
「うっさい」
しれっ、と光のない目で腰に手を当てながら、眉間に皺を寄せて見上げる
「うっさい」
え、と止まるとそっちを見る
「……それはすみませんでした」
「私じゃなくて皆に謝るべきだと思うけどね」
普通に謝りよっこいしょと退く彼に無表情で伝える
言い捨てて去るつもりだったが、なおも彼に不気味にじーっと見られるので、不可解そうに眉しかめて見上げた
普通に謝りよっこいしょと退く彼に無表情で伝える
言い捨てて去るつもりだったが、なおも彼に不気味にじーっと見られるので、不可解そうに眉しかめて見上げた
「……いや、まあなんと正義の心を持った者だと思ったのですよ!!」
ぴく、
「貴方の言うとおり、他の方に謝っておかねばなりませんね。ありがとうございます」
「……いや、ほんとに謝んなくて良い。余計迷惑だって」
眉間に皺。軽率に正義と言われ、癇に障ったのだろうか、呆れたのだろうか
今しがた自分に頭を下げている男が、こんな調子で本屋を周る光景を容易に想像し、彼女は一人また迷惑そうな顔を浮かべる
眉間に皺。軽率に正義と言われ、癇に障ったのだろうか、呆れたのだろうか
今しがた自分に頭を下げている男が、こんな調子で本屋を周る光景を容易に想像し、彼女は一人また迷惑そうな顔を浮かべる
彼は眼鏡を上げると、問い掛けた
「貴方は名前は何というのでしょうか。私は論佐理人(ろんさりひと)でありますゆえ、別にさん付けでも構いませんよ」
「……論佐サン」
ぽつり、一応微妙そうに呼んでみる
「いいよ、名乗るほどじゃない。あと」
「別に正義じゃない。うざかったから文句言いに来ただけだから」
それだけ言うとさっさと踵を返し立ち去ろうとする彼女の背に、彼は告ぐ
「いや!!!!!君のようなしっかりした子はいずれこの国を導いてくれるでしょうな、"祷様"のように!」
勝手に頷いている
「君はいい子ですからねぇ、そうやって謙遜なさるんでしょうよ、なーに私にかかれば君のような子も心を開いてくれます!!さあどうぞ!!」
「………、」
"祷様"。
――"祷忠且(いのりただかつ)"という人間が、無能な警察に代わって動き始めている"正"のリーダーだということは、知らない人の方が少ない。
(コイツ…、正の……)
勧誘にと目の前に回り込んで来た論佐に、睨み上げるような嫌そうな態度を露骨に向けた
——今にも唾を吐きだしそうな表情で、吐き捨てる
「何がどうぞなんだよ……そういうところが迷惑だって分かれよ、」
苛々したように一瞥すると、軽蔑の瞳を最後に彼を置いて通り過ぎる
"祷様"。
――"祷忠且(いのりただかつ)"という人間が、無能な警察に代わって動き始めている"正"のリーダーだということは、知らない人の方が少ない。
(コイツ…、正の……)
勧誘にと目の前に回り込んで来た論佐に、睨み上げるような嫌そうな態度を露骨に向けた
——今にも唾を吐きだしそうな表情で、吐き捨てる
「何がどうぞなんだよ……そういうところが迷惑だって分かれよ、」
苛々したように一瞥すると、軽蔑の瞳を最後に彼を置いて通り過ぎる
ふーむ、と顎に手を当てて考え、本屋から出て行く少女を見送った
「……勧誘失敗でしたかねぇ。いやはや、中々濁った目の色をした有望新人だったのに……」
そんなことを、呟いた
「………論佐、…」
ぽつり、本屋を出て暫く険しい顔で歩き。人通りの絶えない道で、ふとスマホを取り出して、耳に当て
「"留哉"サン。頼まれた本買ったよ。限定版無かったから言われた通り普通のやつになっちゃったけど」
相変わらず目に光が入らない顔だが、通話相手に僅かに笑みを浮かべて話している
「あ、あとちょっと土産話できた。帰ったら話すね」
目を伏せて笑み、頼まれた本が入っている袋を揺らしながら歩く
「…ん?エクリチュール迎えに来るって?もう…、まさかまたシスター服のまま来るんじゃないよね……? げ、」
話しながら歩いていると、話題に挙っている人物が前方に、彼女が危惧した通りの目立つ服装で駆け寄って来るのが見えて、思わず困ったように眉を下げて笑っていた
ぽつり、本屋を出て暫く険しい顔で歩き。人通りの絶えない道で、ふとスマホを取り出して、耳に当て
「"留哉"サン。頼まれた本買ったよ。限定版無かったから言われた通り普通のやつになっちゃったけど」
相変わらず目に光が入らない顔だが、通話相手に僅かに笑みを浮かべて話している
「あ、あとちょっと土産話できた。帰ったら話すね」
目を伏せて笑み、頼まれた本が入っている袋を揺らしながら歩く
「…ん?エクリチュール迎えに来るって?もう…、まさかまたシスター服のまま来るんじゃないよね……? げ、」
話しながら歩いていると、話題に挙っている人物が前方に、彼女が危惧した通りの目立つ服装で駆け寄って来るのが見えて、思わず困ったように眉を下げて笑っていた
論佐理人 by kimino.
野心小童子 by jinjin.
03. 論佐理人vs野心小童子 了(20150815)
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