とある花屋――訪れた客に、一人居た店員は笑みを浮かべて迎える
「いらっしゃいませ」
"相原あまも(あいはら あまも)"の名札を携えた、三白眼の控えめな女性


いつも通り、入院中の平原星螺のために花を買いに来た彼は、"正"組織の人間、蛍火ほたるである
「元気な花をくれ!!!」
店の中だからか自重してるのか、少しうるさい程度で押さえている
「いつもすまないな!!!」
彼女に対しても、嬉しそうに笑いかけていた

わあ、と勢いにおされながらも、最近よく来てくれている常連客の相変わらずの姿ににこり笑みを浮かべ
「こんにちは。待ってて下さいね」
彼が来て嬉しそう。うるさいとは思わず、空気が明るくなって嬉しいらしい
にこにこ、髪の毛を揺らしながら楽しそうに花を選んでいく


わくわくした様子で、時々待ちきれないといったように覗き込む等していた
「相原さんとこの花は綺麗だからな!!!相原さんの花束の作り方も好きだ!!!」
彼女に向けて話しかける
「いつも元気になってるぞ、俺の同僚も!!」

「えへ……嬉しいです」
褒めてもらえば、素直に赤くなって嬉しそうにはにかむ
花を選びながら、眉下げて心配そうに
「……同僚さんのお具合、早く良くなると良いですね」

ああ、と頷くと
「相原さんは優しいな!!!ありがとな!!!」
笑みながら、花を整えて、彼に笑みを向けて

彼もにこっと笑いかけ、そのまま和む――かと思いきや

そこに、嵐

「あァ!!!!!!!!!!?? 20人分!!!!?!?!?!?!? ムチャクチャ言うなよ!!!!!!!!!!!!」
小熊花男が 自重を知らないうるささで やってきた
「い、いらっしゃいませ…」
あまもはと言うと、いかつい人相と振る舞いなので若干怯えたようにおろおろしていた


同類……失礼、青年が入ってきた事で、あまもがやや怯えていたので、むっとして声をかける
「おい!!!!!!!!!!!!静かにしたほうがいいぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
うるせぇ

「あァン!!!!!!!!???!!?!?てめー何様なんだよ!!????!!!!!!お!!?痛い目遭わしたろかコラァ!!!????!!!!!!?」
うるさい めっちゃ近い 額くっつけそうなくらい近い


「うるせぇな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!店員さんが怯えてるだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!お前もう少し静かに注文しろよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
うるせぇ!!!!!

でもさすがにあまもがビクビクしてるのに気付くと静かになる
「女の子を怯えさせるな!!」
お前もだよ!!

ちなみに女の子、と聞いて、密かに赤くなっているあまもが居た
「あぁあ!!?!?!??!?!!!?そりゃぁ!!!!!!!!悪かった……」
小熊、言葉の意味を遅れて理解すると、萎む

「おう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺も静かになろう」
いきなり平淡なテンションまで声の大きさを落とした。訳がわからない
「ごめんな、おねえちゃん。暴れたりしないからよ」
申し訳なさそうに謝られ、ドキドキおろおろしながら大音量ライブに耐えていたあまもは、両耳を塞いでいた手を下ろすと少し怯えの抜けきらない感じではあるが笑った
「だ、大丈夫です…ケホッ、」
改めて笑顔を向けて
「今このお客さんの物を作ってますから、もう少しお待ちくださいね」
にこ、と微笑んで、作業を再開していた


蛍火はあまもの咳に風邪か?と一瞬心配そうに見ていたが、
「にいちゃんも悪かったな。」

ぶす、と彼女に向けての謝罪より適当そうに彼に謝る小熊に

「いや、俺も悪かったんだ!!!口うるさく注意してすまないな!!!」
なおこのうるさくは気分的な問題である、大きさに関してはもう戻ってしまった
「お前も花を買いに来たのか?!!二十人がどうたら言ってたが!!!」
にこっ

「あァ、ちょっとな」
受けた質問に適当そうに答えてぼんやり彼女の様子見てたけど、ふと
「ねえちゃん、アレンジメントの作り方上手だな」
「えっ…??」
褒められたことに喜ぶよりも、とても花に詳しくなさそうな彼から専門用語が出て来たことに対して驚いて見上げていた
「あん??」
「あっ、ありがとうございますっ」
やっぱりちょっと怯えながら慌ててお礼を言って、仕上げた花――アレンジメントと呼ばれる、見舞いに最適なフラワーギフトを整えている


あれんじめんとってなんだ?と言いたげな表情を浮かべているが、彼が専門的な知識があることを察した
「お前花に詳しいのか!!!凄いな!!!」
にこにこ!っと楽しそうに笑いかけ
「あァ??!!!!こっこれくれーフツーだし!!!!!」
お前人懐っこいなウゼェ!!!!って恥ずかしさ紛らわすように喚いているのを見て、あまももくすりと笑っていた

「あの………ありがとう、ございます」
先程のことを思い出して、そしていつものお礼も兼ねて、少し表情を赤らめながら笑って

差し出された花を、彼女から受けとる
「いや、俺は何もしてないぞ!!!」
はははと微笑み、彼女に対して「綺麗な花ありがとうな!!!またよろしく頼む!!!」とぽんと撫でた
「じゃあな!!!」
と、彼女にお金を払ってから、彼に対しても別れを告げ、出ていった

「はいっ…ありがとうございましたっ」
撫でられてさらに赤くなると、ふにゃ、と表情を緩めた笑みをこぼして見送った

そのまま少し赤いままぼうっとしてるあまもを、じと、と小熊は見つめ続けていた
数秒してから「……あぁっ!すみません!えと、どの花をご購入ですかっ?!」と慌てるあまもに、分かりやすいと吹き出して笑っていたとか



蛍火ほたる by kimi.
小熊花男、相原あまも by jin.
11. 蛍火ほたるvs小熊花男 了(20150826)
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