(…このまま保健室でサボっててもいいかな…)

そんな思考をするのは、痛むところをおさえながら歩いて、保健室へ向かっている赤紫キミドリ
意識が戻ったキミドリは、江苗に心配するなと伝え、一人で行動していた

(……だってこの学校を救う為に心から動いているのあの子だもの
そんな子の足手まといになる訳にはいかないわ……)

そう思考する彼女の三白眼は、不真面目な言動に反して真剣な色をしていた


「すんませーん……」

辿り着いた保健室を覗き込み、


「はい、」

がら、と開けたのは、美しい白髪の、柔らかな印象を受ける少年だった

「怪我したの?大丈夫?」
どこか薄い感情の起伏をまじえた声で伝えた
「保険委員なんだ、僕。手当てするよ」


キミドリは彼を見つめ、
「……綺麗な鉛白色、」

ぽそり、と呟いた
色にまつわる能力を持ち合わせている彼女は——よく相手のイメージカラーを呟く癖が有る


「……ありがとう。この髪の色、お爺さんみたいってバカにされやすいんだけどね」
ふふ、と笑いかける
そこでようやく感情を見せたような印象に。だが彼女は、不満そうに眉をひそめて
「そんなに綺麗な色をしているのに?…感性の貧相な子は嫌ね、」
彼をそう言う輩に対して。そんなことを言ってから、笑う

「ありがとう…じゃあ、手当て、お願いするわ」
そう言うと快くそれを承諾し、どうぞ、と案内する彼に従って中に入っていく


「そこに座って」
椅子に座ってもらうと、てきぱきと手当てする
口元の衣服を取り去ってセーターも脱いで、顔色を変えずにシャツ一枚になって手当てを受け。彼の手際良い手当ての様子に感心していた

「……上手だね。こういう怪我もちゃんと手当てできるんだ。保険委員ってすごいのね」


「まあ勉強したっていうか、いざという時にも役に立つし……」
こちらも顔色変えず、ぺたぺたと薬を塗り包帯を巻き、を繰り返して
「ただ、今日は爆弾騒ぎの時から担ぎ込まれる人も増えたから、手慣れちゃったかなぁって」
ははと笑い、治療を全て終えた
「君はこれからどうするの?どこかで大人しくしておくのが安全じゃないかな」
そんな言葉かけ

「…ありがとう」
手当てを受けると、彼の言葉を聞いてから首を回して
「アタシもそうしたいけどね、じこちゅー会長サンにご指名喰らってるからね。働かないと、いけないのさッ――」

背伸びをしてから、「ああ、あの会長か。噂はかねがね聞いてるよ。君も大変だね」と喋る彼を見下ろせば、思い出したように

「――そうだ、一応ここにも爆弾ないか見とかないと。ちょっとごめんよ」

そう言って体を屈め、棚を開く



「――ああ、あまりいじくられると、少し困るかな――」

ふと、笑っていた彼はゆらりと背後に立ち、ぼそりと呟く

「――ッ!?」

——"彼は、己の首を絞めている"

「あ、ッ――、バカ、何すん―――、  、」
とっさの態度の一変に対処しきれず、事後彼の腕を掴んで抵抗しようとしたが——間も無く、だらりと脱力した




気絶した彼女を、姫抱きで抱き上げる

そのまま両手首を縛ると、眠る彼女と共に何処かへ向かった



赤紫キミドリ by jin.
? by kimi.
19. 赤紫キミドリand??? 了(20151216)
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