「無茶な仕事押し付けるよなあ」
白くてでかいフード付きパーカーを腕に通さず羽織った、がっしりめの身体つきのその男は、ぼんやり街を見渡す
ここ周辺は彼の管轄、彼の任務地。避難していない人間は未だ、ちらほら残っている
「"アザナ"を全員抹殺する。その為に"一般人に扮しているアザナも居る可能性も考慮し、目に付いた一般人も殺せ"だなんてなあ」
"ファンドランド"と命名されたGODの一員である彼は、
「ま…仕事だからやるけど、な」
パーカーのポケットから取り出した銃――、ただのBB弾ピストルを、ふとだるそうな挙動で、五メートルは離れている一般人の背中――頭に、向け
そのオモチャの引き金を、引こうとする
殺気も不穏な空気も、何も無いまま。
白くてでかいフード付きパーカーを腕に通さず羽織った、がっしりめの身体つきのその男は、ぼんやり街を見渡す
ここ周辺は彼の管轄、彼の任務地。避難していない人間は未だ、ちらほら残っている
「"アザナ"を全員抹殺する。その為に"一般人に扮しているアザナも居る可能性も考慮し、目に付いた一般人も殺せ"だなんてなあ」
"ファンドランド"と命名されたGODの一員である彼は、
「ま…仕事だからやるけど、な」
パーカーのポケットから取り出した銃――、ただのBB弾ピストルを、ふとだるそうな挙動で、五メートルは離れている一般人の背中――頭に、向け
そのオモチャの引き金を、引こうとする
殺気も不穏な空気も、何も無いまま。
「——ー攻撃待ったあああああああああああああああああッ!!!!!!!」
ふ、と。突然屋根でも出来たかのように、彼の視界が陰る
見上げた先にあったものは――ファンタジーに影響されたようなデザインの氷の刃
それを持つ少女は、長い黒髪を靡かせ、今流行の「ほげにゃん」Tシャツ、パーカーに身を包んでいる
彼女は、高い跳躍から彼に飛び込むと同時に、その氷を降り下ろした
「、」
陰に気付けばぼんやりした瞳で見上げ、飛び込んで来る氷使いの攻撃を、軽いバックステップで躱す
氷が地面とぶつかり、破片が散らばった
「………"アザナ"じゃん」
彼女の存在を認めれば一人言を零し、ふ、と少し、上機嫌そうな笑みを小さく零す
陰に気付けばぼんやりした瞳で見上げ、飛び込んで来る氷使いの攻撃を、軽いバックステップで躱す
氷が地面とぶつかり、破片が散らばった
「………"アザナ"じゃん」
彼女の存在を認めれば一人言を零し、ふ、と少し、上機嫌そうな笑みを小さく零す
舌打ちした後直ぐに霧散させると、新たに氷の剣――もう片手に手持ち盾を作った
「言うに事欠いてそれかッ!」
びし、と剣を差した少女は――
「あんたがテロ組織だな!!
えびょーちゃんはカラオケが騒ぎで閉まって怒ってるんだから!!
『銃は剣よりも強い』イコール!!『覚悟しなさい』!!」
それこそ年端もいかぬ、女子高生だった
言ってる台詞が負ける事確定であるが――
ほげにゃんデザインのリュックサックにぶら下がった学生証には――「御劔江苗」と記されていた
「………、」
役者のように動き、語り出す相手を見つめたままファンドランドは、くつくつ、可笑しそうに肩を震わせながら笑い始める
「お前、可愛いなあ」
深く考えず、一人言にしてはでかい声量でそう言う
役者のように動き、語り出す相手を見つめたままファンドランドは、くつくつ、可笑しそうに肩を震わせながら笑い始める
「お前、可愛いなあ」
深く考えず、一人言にしてはでかい声量でそう言う
彼の言葉を受けてぽぽんと赤くなる
「そ!そんな……めちゃモテ愛され系大和撫子なんて言い過ぎだって!」
何だか頭の悪そうな言葉を続けて「もう!」と嬉しそうにもじもじ。中々自己肯定感の激しい少女のようだ
「ははは。かわいいなあ、やっぱ」
愉快な彼女を見て可笑しそうに笑いながら
「そう、ボクがテロ組織デス。大正解、よおく出来ました、すごいなあ。じゃあ、もう一つ問題出してやろうなあ」
持っていた銃の銃口に指を入れ、くるくると回したあと、軽く上に投げるように手放して、人差し指と親指で摘むようにして持ち直す、彼女にピストルを見せつけるように
「これは何でしょーうか。もぉ一つ聞くとしたら、オレはこれで何をしようとしていたでしょうか」
にやにや、完全に舐め腐ったトーンで楽しげに問い掛ける
愉快な彼女を見て可笑しそうに笑いながら
「そう、ボクがテロ組織デス。大正解、よおく出来ました、すごいなあ。じゃあ、もう一つ問題出してやろうなあ」
持っていた銃の銃口に指を入れ、くるくると回したあと、軽く上に投げるように手放して、人差し指と親指で摘むようにして持ち直す、彼女にピストルを見せつけるように
「これは何でしょーうか。もぉ一つ聞くとしたら、オレはこれで何をしようとしていたでしょうか」
にやにや、完全に舐め腐ったトーンで楽しげに問い掛ける
「……BB弾で何する気か分かんないけど、あんたが人殺ししようとしてるのは分かる!
てか、むかつくー!何その態度!何その!何っ!!」
青年の言葉、表情――それに煽られた事でかなり怒っていた
と、そこで切り替えると剣をひゅんと、振るって持ち直し、
「銃持ってカッコつけて――顔がイケメンだからってモテる時代じゃないのよ、おじさんッ!!」
「そーか、イケメンか。おじさんてのは心外だが、まぁ、どうもな」
自分の癖っ毛を軽くわしわし掻きながら、残った笑みのまま礼を言う
そのまま向かって来るであろう彼女を見据えていたが——
自分の癖っ毛を軽くわしわし掻きながら、残った笑みのまま礼を言う
そのまま向かって来るであろう彼女を見据えていたが——
剣と盾はフェイク、それらを霧散させると――周囲に煙幕の如く、ダイヤモンドダストの霧が生まれる
白い霞の中に彼女の姿が隠れ、彼が探している間に、その体を彼の顎を殴り抜く為に至近距離に潜り込ませる
――フェイント、霧に身を隠した彼女に少しまばたきしては、マイペースに周囲を見渡して
ふと、突拍子にBB弾ピストルを地面に向け、撃っ
た、瞬間が、彼女が彼の懐に飛び込んだ瞬間と重なった
何の変哲の無いBB弾が着地した瞬間、
爆発した
ふと、突拍子にBB弾ピストルを地面に向け、撃っ
た、瞬間が、彼女が彼の懐に飛び込んだ瞬間と重なった
何の変哲の無いBB弾が着地した瞬間、
爆発した
彼女は至近距離にいたために――腹部から爆風、熱風に巻き込まれた
「ぐっ!!」
後方へと転がり――痛みを堪えながら立ち上がろうとするが
「……、は、は……」
体が痛み、その場でへたりこむ
「くそ、くそ……動け……!!」
転げていった彼女を見やれば、今、気付いたような顔で
「あァ、近くまで来てたのか」
爆風に彼女を巻き込むのを狙って撃っていなかったような口振り――本当に狙っていなかったのかは分からない、一貫したマイペースな振る舞い――で。
「なんだ、案外脆いなぁ。「氷」のアザナだろ?強そうな能力なのになあ」
ハハ、と嘲笑しながら歩み寄る
「ま、使いこなさなきゃ宝の持ち腐れ、豚に真珠。バカに贅沢」
近付いても平気だと言わんばかりに、至近距離まで来て立ち止まる
「土産に教えてやろうか。このBB弾はな、殺したアザナの能力を付加した俺達の道具だ。ちなみに俺が着てるインナーも爆風を防ぐ仕様のそれ」
口元に笑みを浮かべたまま、
「俺はアザナじゃないが、ちゃんと力を使いこなしてる。お前は違う。
ただの"バカ"だ」
オモチャであるはずなのに、"本物の凶器"であるピストルを、相手の額を狙い、向ける
「あァ、近くまで来てたのか」
爆風に彼女を巻き込むのを狙って撃っていなかったような口振り――本当に狙っていなかったのかは分からない、一貫したマイペースな振る舞い――で。
「なんだ、案外脆いなぁ。「氷」のアザナだろ?強そうな能力なのになあ」
ハハ、と嘲笑しながら歩み寄る
「ま、使いこなさなきゃ宝の持ち腐れ、豚に真珠。バカに贅沢」
近付いても平気だと言わんばかりに、至近距離まで来て立ち止まる
「土産に教えてやろうか。このBB弾はな、殺したアザナの能力を付加した俺達の道具だ。ちなみに俺が着てるインナーも爆風を防ぐ仕様のそれ」
口元に笑みを浮かべたまま、
「俺はアザナじゃないが、ちゃんと力を使いこなしてる。お前は違う。
ただの"バカ"だ」
オモチャであるはずなのに、"本物の凶器"であるピストルを、相手の額を狙い、向ける
「は、は――」
最早、本物の銃よりも威力のある――『アザナ』の力が付加された武器
――完全に油断していた。警戒こそしたが、戦い方のツメが甘過ぎる
(負ける……、こんな所で私、誰も護れずに死んじゃうの……
弱いまま……馬鹿なまま……!)
この凶悪犯を逃せば――また誰かが傷付く
強くなると誓ったばかりだというのに、こんな――
ファンドランド by jin.
御劔江苗 by kimi.29. 御劔江苗vsファンドランド 了(20160122)
スポンサードリンク