――一方、経済的危機に瀕している男が居たのだ
彼も自分はこのまま野垂れ死ぬのだと考えていた。元より、それはあんな組織に入ってた頃から分かっていたのだ
路地裏を徘徊する
「……」
喋る気力も無い
いつか頭上のカラスにすら啄まれそうなその男は、同じく元『新訳説』メンバー、土佐(仮名)。現在無職だった
手元に残っているものは、着物と、辻斬りの為の刀のみ
着物が心なしか煤けている
それをじろりと見ると、ふいと顔を逸らした
「……大丈夫だ。元よりあそこに居た頃から、こういう生活だったしな……」
さらりと実情漏らして
「――ただ死期が早まっただけだ。お前さんから施しを受けたとしても、俺はいずれ死ぬ……」
消極的な事を呟くと、ふらふらと通りすぎようと
「……誰かを殺すってのはこういう事さ。分かるだろ、お前さんも……」
「……このまま生きてても、まともな働き口は無い。戸籍は棄てたからな……」
立ち止まらずに、遅い足取りで歩む
「俺は諦めてたんだ。ろくでも無い組織に入った時点で、こんな事になるのは。だから……」
死にたいというよりも、ほぼほぼ諦めているようだった
このまま就職する事も出来ないのなら
ぴたり、と立ち止まった
「……俺が元々あの組織に入ったのはアザナが憎いという理由で俺はどんなことがあってもアザナを殺したいほど憎いとも考えていただがそうだな俺は元々話は流せるタイプの人間で一時の怒りに任せた部分も強かった人間というものは弱いからなそういう部分もあるだろう俺は日に日に普通に辞めたいし帰りたいとも考えるようになってな二度目になるがそういう弱さというものはあるだろうこうして開放された今アザナへの憎しみこそあれ俺はぶっちゃけ再就職出来ねぇのかマジかとなりながら生きていたからこそそういう話があるのなら聞いてやってもいいという感情はある」
戸籍棄てたのノリかよこいつ
ということで、普通に聞きたいらしい
振り返らずに、立ち止まった
「……」
頷く。哀れなほど無言だった
着いていきながら、だらだらと答える
「ああ、わざわざ鋭利な切り口で切ってくれたのか、すぐにくっ――」
「あたしがどうした、芝南と死に損ない」
パァ!出た!(微粒子レベルの岡○感)
そんな訳で、後ろからさも当たり前のように水瓶乙女は着いてきていた
「何処に行くんだ」
「……」
「殺すつもりが無かったから、それだけだ。芝南は死なれたら困るだろう」
「何だそれ……犬かよ……」
わやわやしている
ちょっと水瓶乙女を怖がっていたが、まあ話せるレベルらしい
「……お前の上司というと、私の御主人様の御主人様という訳か。どんな奴なんだ」
珍しく、水瓶が問いかける
その言葉もさして気にしない様子の少女と、普通にその発言聞いて戸惑っているし二人の雰囲気に動揺を隠せない辻斬りおじさんである
「……ほう」
先に声をあげたのは辻斬り……ではなく土佐だった
そのまま入っていく、ついでに水瓶も何でもない様子で
職探しおじさんと呼ばれたが最早抜刀する気も起きない職探しおじさんと、頭を軽く下げるとそれきり瞳を瞑るように押し黙った友達(仮)だった
「……その無職おじさんは雇われる為にここに来たが、あんたも誰でも雇う訳じゃないだろう……」
挨拶もしないままに、不躾に睨む無職
「汚れ仕事でも何でも出来るが、普段は何してんだ」
ぼそり、と問いかける
「……元より話すような友達は居ない――成程、分かった」
またなんか悲しいこといってるおじさんはそろそろシリアスモードに突入したのか真面目な面構えになる
「俺は――そうだな、まあ好きに呼べ。名前なんて元から無ぇよ
……雇ってくれて助かった」
最早、土佐という名前すら棄てた
それは『新訳説』に居た時点での名前だと思ったのだ。いま彼に雇われるというのならば、
「危ない橋なら俺はいくらでも渡る。給料分は仕事するぜ。よろしく、二階堂さん」
――雇い主に対して不躾な態度で話しすぎではあるが、彼はそう変わらない人間なのだろう
給料分以上の仕事はしなさそうではあるが、斯くして彼は雇われる形になった
「……なぁ、いきなりで悪いが、何か、服くれねぇか。新しい服買う金も無くてな
細ぇからどんなサイズでも入る。要らなくなった物で良い」
と、なんか言ってきたこいつ
それを聞いた元土佐は、おう、じゃあな、と手をひらひら振って別れた
「……、」
水瓶乙女は瞳を開けると、そのまま彼が帰るのに付き従うだろう
それこそ、物言わぬ道具のようである
「いや、待ってない」
首を振ると、探偵所を出て行く彼に着いていく水瓶乙女だった
そうして二階堂に着いていくと、潜入捜査用に多く所持している様々な衣装から適当なワイシャツと黒いスラックスを選び、着る
「やっぱ洋装だな」
何で着物を着ていたと思うような発言
だが、ぼうぼうに伸びた髪はスマートな衣服に合っていない
ベルトに刀を差すと、鏡の前に立つ
「は?!」
さしもの男も半ギレした様子でヘアゴムを貰う
だ、ダサい……俺が……?そんな思考が過る中、渋々と髪をポニーテールにくくった
すると、中々清潔感が出た
「……ほう、……悪くねぇ」
にや、と嫌らしい(彼としては精一杯の楽しい笑顔)笑みを浮かべると、「家は無ぇ、」とそこから普通に会話していた
「は?」
きょとん、とした顔をしていた
自分の名前だと認識すると、ああ、と笑った
「好きに呼べよ」
否定しないという事は、気に入ったという事である
彼も自分はこのまま野垂れ死ぬのだと考えていた。元より、それはあんな組織に入ってた頃から分かっていたのだ
路地裏を徘徊する
「……」
喋る気力も無い
いつか頭上のカラスにすら啄まれそうなその男は、同じく元『新訳説』メンバー、土佐(仮名)。現在無職だった
手元に残っているものは、着物と、辻斬りの為の刀のみ
同じく路地裏を徘徊していた男、――また巡り会ったのは何の運命か
「……あんた」
出会った彼を視認すると、芝南稔はびくりと肩を震わせたが――距離を保ちながらおそるおそる歩み寄る
「…だい、じょうぶか。……腹減って…んのか。……食う、か?」
貧困しているような彼の様子に、遠慮がちながらも鞄を漁り始める
「……あんた」
出会った彼を視認すると、芝南稔はびくりと肩を震わせたが――距離を保ちながらおそるおそる歩み寄る
「…だい、じょうぶか。……腹減って…んのか。……食う、か?」
貧困しているような彼の様子に、遠慮がちながらも鞄を漁り始める
着物が心なしか煤けている
それをじろりと見ると、ふいと顔を逸らした
「……大丈夫だ。元よりあそこに居た頃から、こういう生活だったしな……」
さらりと実情漏らして
「――ただ死期が早まっただけだ。お前さんから施しを受けたとしても、俺はいずれ死ぬ……」
消極的な事を呟くと、ふらふらと通りすぎようと
「……誰かを殺すってのはこういう事さ。分かるだろ、お前さんも……」
「………」
手に掴んだカロリーメイトを渡しそびれ、神妙な顔で沈黙する
「……普通に働く気は無えの?あんたは…死にたいのか?」
心配するような問い掛ける
手に掴んだカロリーメイトを渡しそびれ、神妙な顔で沈黙する
「……普通に働く気は無えの?あんたは…死にたいのか?」
心配するような問い掛ける
「……このまま生きてても、まともな働き口は無い。戸籍は棄てたからな……」
立ち止まらずに、遅い足取りで歩む
「俺は諦めてたんだ。ろくでも無い組織に入った時点で、こんな事になるのは。だから……」
死にたいというよりも、ほぼほぼ諦めているようだった
このまま就職する事も出来ないのなら
(……戸籍、棄てたのか)
彼の過去に何があったのかを想像して、彼はいたたまれなくなった
「……なあ………」
立ち止まったまま、声をかける
「もし就職先がありそうだっつったら……あんたはどうすんだ?」
彼の過去に何があったのかを想像して、彼はいたたまれなくなった
「……なあ………」
立ち止まったまま、声をかける
「もし就職先がありそうだっつったら……あんたはどうすんだ?」
ぴたり、と立ち止まった
「……俺が元々あの組織に入ったのはアザナが憎いという理由で俺はどんなことがあってもアザナを殺したいほど憎いとも考えていただがそうだな俺は元々話は流せるタイプの人間で一時の怒りに任せた部分も強かった人間というものは弱いからなそういう部分もあるだろう俺は日に日に普通に辞めたいし帰りたいとも考えるようになってな二度目になるがそういう弱さというものはあるだろうこうして開放された今アザナへの憎しみこそあれ俺はぶっちゃけ再就職出来ねぇのかマジかとなりながら生きていたからこそそういう話があるのなら聞いてやってもいいという感情はある」
戸籍棄てたのノリかよこいつ
ということで、普通に聞きたいらしい
振り返らずに、立ち止まった
「……」
ぱちぱちまばたきしてた
「俺が勤めてる…勤めてる?探偵所があんだよ。そこの探偵さんに相談してみれば」
と、言うと彼を通り過ぎて先に行こうとする
ぱちぱちまばたきしてた
「俺が勤めてる…勤めてる?探偵所があんだよ。そこの探偵さんに相談してみれば」
と、言うと彼を通り過ぎて先に行こうとする
「……」
頷く。哀れなほど無言だった
鞄を担いだまま彼は、ふと歩きながら振り返って
「水瓶にやられた傷は治ったのか?」
「水瓶にやられた傷は治ったのか?」
着いていきながら、だらだらと答える
「ああ、わざわざ鋭利な切り口で切ってくれたのか、すぐにくっ――」
「あたしがどうした、芝南と死に損ない」
パァ!出た!(微粒子レベルの岡○感)
びびる芝南
そんな訳で、後ろからさも当たり前のように水瓶乙女は着いてきていた
「何処に行くんだ」
「……」
「……んあー……お前も来んの……?」
着いて来ることに微妙に気が進まないような声色ではあるが、拒否する様子もない。水瓶の方をちらりと見ながら
「まぁ、大事無いなら良かった。…水瓶、意外と器用なのか?」
雑談しながら向かうスタイル
着いて来ることに微妙に気が進まないような声色ではあるが、拒否する様子もない。水瓶の方をちらりと見ながら
「まぁ、大事無いなら良かった。…水瓶、意外と器用なのか?」
雑談しながら向かうスタイル
「殺すつもりが無かったから、それだけだ。芝南は死なれたら困るだろう」
「何だそれ……犬かよ……」
わやわやしている
ちょっと水瓶乙女を怖がっていたが、まあ話せるレベルらしい
「……お前の上司というと、私の御主人様の御主人様という訳か。どんな奴なんだ」
珍しく、水瓶が問いかける
「……。だからそのご主人様ってなんだよ、」
は、と少し笑う。何を考えているかはともかく、深追いはしなかった
は、と少し笑う。何を考えているかはともかく、深追いはしなかった
その言葉もさして気にしない様子の少女と、普通にその発言聞いて戸惑っているし二人の雰囲気に動揺を隠せない辻斬りおじさんである
彼女に問い掛けられたことへの珍しさもあり違和感を感じ一瞬沈黙していたが、また話し始める
「ただのイケメン。…あと…うん…良い人。けどちょっと気紛れで……好奇心旺盛で」
ぽつりぽつりと印象を紡いで行く
暫し歩くと、路地裏から出て道に出る
そこから向こう側に見える、真新しくも無いが、道になじんでいる探偵所。目を凝らしてみればああ探偵所か、と発見出来るが、普通に歩いていたら見落として通り過ぎてしまいそうな
「ここ」
と、言いながらもその建物に灯りはついていない。が、芝南はずんずん向かって行く
「ただのイケメン。…あと…うん…良い人。けどちょっと気紛れで……好奇心旺盛で」
ぽつりぽつりと印象を紡いで行く
暫し歩くと、路地裏から出て道に出る
そこから向こう側に見える、真新しくも無いが、道になじんでいる探偵所。目を凝らしてみればああ探偵所か、と発見出来るが、普通に歩いていたら見落として通り過ぎてしまいそうな
「ここ」
と、言いながらもその建物に灯りはついていない。が、芝南はずんずん向かって行く
「……ほう」
先に声をあげたのは辻斬り……ではなく土佐だった
そのまま入っていく、ついでに水瓶も何でもない様子で
扉を開けながら芝南は口を開く
「二階堂さ――」
「あぁぁああああ~~~~!!!」
中からどちゃどちゃと資料的なものが崩れる音、そしてそれを嘆く若い男性の声が響いた
慌てて芝南がそこでやっと電気をパチリとつけると、資料の小山から顔を出した探偵帽のイケメンが笑顔を見せた
「やあや、稔くん!みっともない所を見せてしまったね!」
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫!!なんかもう嫌になって面倒臭いなって思ってた自分が悪いから!!」
はははーと立ち上がっては、客に気付いてきょとん
「そちらのガールとジェントルマンは?」
体を斜めに大きく傾け芝南越しに二人を見る
「職探しおじさんと俺の友達」
「二階堂さ――」
「あぁぁああああ~~~~!!!」
中からどちゃどちゃと資料的なものが崩れる音、そしてそれを嘆く若い男性の声が響いた
慌てて芝南がそこでやっと電気をパチリとつけると、資料の小山から顔を出した探偵帽のイケメンが笑顔を見せた
「やあや、稔くん!みっともない所を見せてしまったね!」
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫!!なんかもう嫌になって面倒臭いなって思ってた自分が悪いから!!」
はははーと立ち上がっては、客に気付いてきょとん
「そちらのガールとジェントルマンは?」
体を斜めに大きく傾け芝南越しに二人を見る
「職探しおじさんと俺の友達」
職探しおじさんと呼ばれたが最早抜刀する気も起きない職探しおじさんと、頭を軽く下げるとそれきり瞳を瞑るように押し黙った友達(仮)だった
「……その無職おじさんは雇われる為にここに来たが、あんたも誰でも雇う訳じゃないだろう……」
挨拶もしないままに、不躾に睨む無職
「汚れ仕事でも何でも出来るが、普段は何してんだ」
ぼそり、と問いかける
無職おじさんと自分から言い出した事に関して芝南はついに噴き出してしまっていた
「雇う?自分が貴方を?」
「…あんた、手伝いが欲しいって言ってたろ。」
「言ってたけど……」
目を合わせてからふと真面目な瞳で土佐と、腰に有る刀を見る。そして汚れ仕事でもやる、という発言を聞き、合点する
「前俺を虐めた着物のおっさんな」
「なるほどね。ん?いやそれは分かったけどどういう経緯で今に至るの?」
探偵がきょとんと芝南とまた目を合わせる
だが「まあいいや、」と資料を踏まないように大股小股で避けながら土佐に歩み寄った
「自分は二階堂無一(にかいどう むいち)と言います。普段は普通に探偵。でも、そうだね、割と危ない依頼も承るかな。アザナ絡みの依頼ってなると命の危険は当たり前だから」
人当たりの良さそうな猫口笑みを浮かべながら
「自分と一緒に働いてくれるなら、条件が五つ。一、依頼主の秘密は絶対厳守。二、二階堂無一の邪魔はしない、っていうか自分の命令は大体聞いて欲しいかな。三、えーと……、……まいいや」
人差し指を立て、中指も立て、と数えながら言っていたがそもそもちゃんとした規則などないらしい、ぱっと両手を広げカウントしたものを発散させる
「でも一の依頼主の秘密は絶対厳守、は絶対厳守して欲しい。一応信頼がないとやってけない仕事だからね。破ったら殺されると思って、怖い人達に」
にっこり脅す
「雇う?自分が貴方を?」
「…あんた、手伝いが欲しいって言ってたろ。」
「言ってたけど……」
目を合わせてからふと真面目な瞳で土佐と、腰に有る刀を見る。そして汚れ仕事でもやる、という発言を聞き、合点する
「前俺を虐めた着物のおっさんな」
「なるほどね。ん?いやそれは分かったけどどういう経緯で今に至るの?」
探偵がきょとんと芝南とまた目を合わせる
だが「まあいいや、」と資料を踏まないように大股小股で避けながら土佐に歩み寄った
「自分は二階堂無一(にかいどう むいち)と言います。普段は普通に探偵。でも、そうだね、割と危ない依頼も承るかな。アザナ絡みの依頼ってなると命の危険は当たり前だから」
人当たりの良さそうな猫口笑みを浮かべながら
「自分と一緒に働いてくれるなら、条件が五つ。一、依頼主の秘密は絶対厳守。二、二階堂無一の邪魔はしない、っていうか自分の命令は大体聞いて欲しいかな。三、えーと……、……まいいや」
人差し指を立て、中指も立て、と数えながら言っていたがそもそもちゃんとした規則などないらしい、ぱっと両手を広げカウントしたものを発散させる
「でも一の依頼主の秘密は絶対厳守、は絶対厳守して欲しい。一応信頼がないとやってけない仕事だからね。破ったら殺されると思って、怖い人達に」
にっこり脅す
「……元より話すような友達は居ない――成程、分かった」
またなんか悲しいこといってるおじさんはそろそろシリアスモードに突入したのか真面目な面構えになる
「俺は――そうだな、まあ好きに呼べ。名前なんて元から無ぇよ
……雇ってくれて助かった」
最早、土佐という名前すら棄てた
それは『新訳説』に居た時点での名前だと思ったのだ。いま彼に雇われるというのならば、
「危ない橋なら俺はいくらでも渡る。給料分は仕事するぜ。よろしく、二階堂さん」
――雇い主に対して不躾な態度で話しすぎではあるが、彼はそう変わらない人間なのだろう
「ふふん、なかなか肝が据わってるジェントルマンだね。第一印象バッチリだよ。よろしくお願いします」
彼の口調に関しては何も気にしていない様子で。ご機嫌そうにそう言ってから、好きに呼べ、という言葉に少し悩ましげに首をひねる
後ろで資料を拾ってまとめていた芝南が「辻斬りおじさん」ぼそりと呟いていたが、とりあえず保留で
彼の口調に関しては何も気にしていない様子で。ご機嫌そうにそう言ってから、好きに呼べ、という言葉に少し悩ましげに首をひねる
後ろで資料を拾ってまとめていた芝南が「辻斬りおじさん」ぼそりと呟いていたが、とりあえず保留で
給料分以上の仕事はしなさそうではあるが、斯くして彼は雇われる形になった
「……なぁ、いきなりで悪いが、何か、服くれねぇか。新しい服買う金も無くてな
細ぇからどんなサイズでも入る。要らなくなった物で良い」
と、なんか言ってきたこいつ
「服?…何でもあるよ、こっち。おいで」
芝南のおかげで資料が机上に置かれ綺麗になった床を歩いて奥へ行く
通りすがってから、芝南は二人に声をかける
「…俺、帰るな?」
芝南のおかげで資料が机上に置かれ綺麗になった床を歩いて奥へ行く
通りすがってから、芝南は二人に声をかける
「…俺、帰るな?」
それを聞いた元土佐は、おう、じゃあな、と手をひらひら振って別れた
「……、」
水瓶乙女は瞳を開けると、そのまま彼が帰るのに付き従うだろう
それこそ、物言わぬ道具のようである
もう少し礼言ってくれよな、と思いながら入り口の方へ歩き
「待たせた、」
水瓶の肩をぽんと軽く叩く
「待たせた、」
水瓶の肩をぽんと軽く叩く
「いや、待ってない」
首を振ると、探偵所を出て行く彼に着いていく水瓶乙女だった
そうして二階堂に着いていくと、潜入捜査用に多く所持している様々な衣装から適当なワイシャツと黒いスラックスを選び、着る
「やっぱ洋装だな」
何で着物を着ていたと思うような発言
だが、ぼうぼうに伸びた髪はスマートな衣服に合っていない
ベルトに刀を差すと、鏡の前に立つ
顎に手を当てて見ていた二階堂
「ダサい!」
「ダサい!」
「は?!」
口を開けて出た発言がこれ、ヘアゴムを持って来るとはいと渡した
「結んでね!クソダサいから!あぁあと、君って寝泊まりするとこあるの?」
部下になったと決まれば既に「貴方」から「君」になっている
「結んでね!クソダサいから!あぁあと、君って寝泊まりするとこあるの?」
部下になったと決まれば既に「貴方」から「君」になっている
さしもの男も半ギレした様子でヘアゴムを貰う
だ、ダサい……俺が……?そんな思考が過る中、渋々と髪をポニーテールにくくった
すると、中々清潔感が出た
「……ほう、……悪くねぇ」
にや、と嫌らしい(彼としては精一杯の楽しい笑顔)笑みを浮かべると、「家は無ぇ、」とそこから普通に会話していた
その後自分の席に座りんー、と顎に手をやりながら彼を眺める二階堂
何を考えていたのか突然、
「江戸草(えどぐさ)!」
ぽん!といきなり言う
彼がこっちを見たら、笑った
「江戸草。かっこよくない?」
何を考えていたのか突然、
「江戸草(えどぐさ)!」
ぽん!といきなり言う
彼がこっちを見たら、笑った
「江戸草。かっこよくない?」
「は?」
きょとん、とした顔をしていた
自分の名前だと認識すると、ああ、と笑った
「好きに呼べよ」
否定しないという事は、気に入ったという事である
二階堂無一、芝南稔 by jin.
江戸草(土佐)、水瓶乙女 by kimi.43. 二階堂無一&江戸草(20160221)
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